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WEB BOOK : haluta 365

haluta 365 REGULAR BOOK

FUN, MY SECRET SPOT

いちばん秘密にしたかった信州ガイド

vol.16

March
,15,2017

仕事場の営み #2

posted by TAKASHI KOBAYASHI

鳥の声

朝の空気

光の差す方

夜の静けさ

 

あの人は、ここでなにをみているのだろうか

 

きっと、あの人だけの秘密がある

 

「 仕事場の営み #2 」

 

フローリスト
『 Pomponner 』

小野洋子 櫻井明子

上田

 

=====

 

上田を拠点に、
フラワーアレンジメントを手がけている
Pomponner(ポンポネ)』の
小野洋子さんと櫻井明子さん。

 

ふたりのアトリエは、木造平屋の一軒家。

DSC_8964

一年ほど前から、この古民家を改修し、

アトリエとして使っている。

今では月に数回、フラワーアレンジメントの教室を

開いている。

 

靴を脱いで上がる式のせいなのか、
なんだかとてもほっとする場所。

 

縁側に、お昼寝絶好のぽかぽか太陽が
差し込んでいるのが、これまたいい。

DSC_8936

おまけに、窓の外にはタケノコが採れる竹林や
畑仕事中のおじいちゃんの姿なんかも垣間見える。
川のせせらぎだって、聞こえてくる。

 

「街中だけど、ここには自然が
たくさんあるから、気持ちがいいです。

やっぱり、私は

自然の中で仕事がしたいから」と明子さん。

 

空に浮かぶ雲の流れと
おじいちゃんのマイペース野良仕事。
この眺めがなんだか優しい。

 

でも、本当の本当は、
二人がここにいること。

 

それがアトリエに「ほっ」を与えてくれている。
そのことに気がついたのは、
けっこうすぐのことだった。

DSC_8947

 

「私たち、かれこれ!ね〜!」と洋子さん。

「そうそう!」と明子さん。

 

ふたりの声が重なり、

「20年来の仲だから!」と大笑い。

 

(ふたりの掛け合いの妙と来たらっ!

なんだか“ほんわ〜っ”)

 

おしゃべりしながらも、
くるくると花を結う手は進む。

飾ってある花の中からするりと一本選んで、
リースをつくったり、アクセサリーをつくったり。

 

テンポよく呼応するふたりの動きと
笑い声が一緒になって、
アトリエの空気があたたまっていく。

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洋子さんと明子さんは、
20代の頃勤めていたお花屋の同僚。

 

当時を振り返り、
お互いのことを「スカしたやつだった(笑)」と
冗談まじりに称賛するのは、
信頼あってこそのご愛嬌。

 

数年経って、ふたりは違う会社で
働くようになるも、いつの間にやら、
一緒にフラワーアレンジメントを
やるようになっていったそう。

 

互いの自宅を行き来しながら、
趣味も仕事も四六時中、
お花の世界に没頭していった。

 

「夜中にどちらかの家に集まっては、
コツコツと作品づくりをしていました。
ああでもない、こうでもない言いながら。
製作を続けて、イベントに出店したり、
アレンジメントを依頼されるようになっていったり。
あの時間は楽しかった〜!」と洋子さん。

 

「あっという間の時間だったよね!
昼の仕事が終わると、
『さっ!“夜の仕事”へ』みたいにね(笑)。
楽しかったな〜」と明子さん。

 

そんなふたりの日々が
少しずつ積み重なって、
『Pomponner』ははじまった。

 

洋子さんは、続けてこうつぶやいた。

 

「やっぱり自分一人ではやれない時に
頼める人は、彼女だなって思います。
なんとなく、
彼女にしかない、技術だけではない、
なにかがあるんです」

 

適当なあいづちを返すのは、
明子さんの照れ隠し。

 

明子さんは言う。

「私にできないことを、洋子さんはできる。
お互い様です」

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互いを尊敬し合うふたりと、
ふたりの好きがいっぱいに詰まったアトリエ。

 

「なんとなく」の信頼や
「なんとなく」好きという

 

理由の見つからないものこそ
確かなものなのかもしれない。

 

「お花の仕事を続けてきたのは、なぜだろうって
考える時もあるけれど、いつも困っちゃいます。
好きとしか言いようがないのかな〜」
と洋子さん。

 

「私は、物心ついた時から
お花が好きだったみたいで。

保育園の先生に
毎日、花束をつくって、

プレゼントしていたらしいです。
まっ、雑草ばかりだったみたいですけどね(笑)」
と明子さん。

 

最後に「この場所で
大切にしていることは何ですか?」と訊ねると、

 

う〜んと喉奥を唸らせながら、
同じポーズをとっているふたりが
ここにはいた。

 

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後記

今、僕は長野行きのバスを待ち、
仕方がないことを紛らわして、
東京の喫茶店にいる。

 

パソコンを開くと、
youtubeから
Tro y Moiの”Run Baby Run”が
流れてきた。

 

実は、ちょうど一時間前に
バスを乗り過ごしてしまった。
昨晩に「旅のトラブル」がテーマのラジオを
聞いたばかりの正夢。

 

空の青さに、取材したあの日の光景が
鮮明によみがえる。

 

そして、僕は思い出し笑いを
隣席のファミリーに気付かれまいと、
必死にこらえている。

 

好きなことにまっすぐな
洋子さんと明子さんが
エールを送ってくれている。

そんな気さえしてきた。

 

-INFO-

 

『Pomponner 』
上田市常盤城3-7-37

 

http://pomponner.wixsite.com/pomponner
アトリエOPEN DAYに関しては
Facebookページより

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posted by TAKASHI KOBAYASHI

2011年、大学3年の冬に長野市「旧シンカイ金物店」を友人と改修。生活拠点として、蚤の市やライブ、食事会などを企画。中学校教諭退職後、渡米。帰国後、アパレル販売員を経て、執筆、空間演出、広報などの経験を積む。フードケータリング「Hello,FOLKS!」主催。

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