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FUN, MY SECRET SPOT

いちばん秘密にしたかった信州ガイド

vol.20

July
,30,2017

仕事場の営み #6

posted by TAKASHI KOBAYASHI

 

鳥の声

朝の空気

光の差す方

夜の静けさ

 

あの人は、ここでなにを

みているのだろうか

 

きっと、あの人だけの秘密がある

 

「 仕事場の営み #6 」

 

フォークロア工芸社

南沢征志さん

小諸

 

__________________

 

はじまりは一冊の本、

というよりは、

理由もなく、とにかく、それが好きだったから。

 

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浅間山の麓にある「フォークロア工芸社」の工房。

あたり一面は、畑の水平線と空。

ゆっくりと流れゆく雲。
 

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そんな風景の中、

遠くの山を眺めながら

野良仕事をしている

おじいちゃんたちにまざって、
 

毎朝5時ともなれば、

南沢征志さんもひとり、

ここで1日のはじまりを迎える。
 

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「朝のうちに、ひとりで、どれだけその日の準備ができるか。それが仕事でもあるからね。まあ、この時ばかりは、好きな音楽をガンガンかけながら仕事ができるのも、いいんだよね(笑)」

 

風が抜けて、

とびきり気持ちがいいこの場所で、

南沢さんと数名のスタッフは、

オリジナルの家具や、

依頼された住宅家具、店舗什器などを

作っている。

 

「うちの仕事は、きれいに作ることはもちろん。いかに図面を正確に読み取れるか、もっと言えば、図面に書かれていること以上をどれだけ読み取れるか、が大切なんだよね」

 

と、わずかな言葉で話す南沢さんに、

この仕事をはじめたきっかけを訊ねてみると、

 

「取材もあるから、色々と考えてみたけど……。よく、わからない(笑)」

 

と、ほわっとした笑顔が返ってきた。

(こういうときの南沢さんって、ホントに子どものようで、スカーっとこちらを和ませてくれる)
 
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「なんだろうね?もともと、10代の頃から作ることが好きで、椅子とか棚とか、時計とか、いろいろ作ってたんだよね。東京でサラリーマンやってたときも、アパートで色々作ってたんだけど、まあ当然に、苦情が来るわけで(笑)。

それで、当時は車も好きだったから、実家(小諸)にドライブがてら帰って来る度に何か作る、みたいな生活をしてたんだよね。今でいう、週末田舎暮らしみたいな?(笑)」

 

そんな風にして、

気がついたら、

どんどん木工に夢中になっていった。
 

そして、そんなある日、

南沢さんは一冊の本に出会ってしまう。

 

「タイトルは、たしか、『Solid-Wood Cabinet Construction』だったかな?」

 

と言いながら、

南沢さんは嬉しそうに、

当時のことを振り返った。

 

「ドイツの木工作家さんの作例を集めた本で、『ああ、すごいなあ!』って思ったんだよね。どうしたら、こういうの作れるのかな?って思いはじめたら、もう色々調べ出しちゃって。それで木曽の木工の学校に行くことを決めたんだよね」

 

なんとも快活!な25歳の南沢さんは、

木工の道へと、進みはじめた。

ごくごく、あるがままに。

 

「いけるか、どうかなんてわからなかったけど、30歳までには独立しようってことだけは決めてた。当時の上司には、『今の仕事を続ければ、40歳になる頃には、こんな未来が待っていて、どれくらいの収入で、どんな役職で』って条件を提示された。だけど、僕は、もう、口に出しちゃっていたし、自分もその気になってたから、迷うことはなかったね。まあ、提示された条件は、いい内容だったけど(笑)。

振り返れば、あのとき提示された条件を目標に、これまで続けてきた。40歳まであと、半年だから、今まさに頑張っているところ(笑)」

 

その目標に近づきそうですか?と訊ねてみると

 

「いや、無理だね(笑)」

 

とまた、なんとも

子どものような

無邪気な笑顔で即答、大笑い。

(どこまでも純真無垢な人!と、こちらもほんわり)

 

「まあ、こうやって今の仕事ができているのも、僕はラッキーかもしれないね。色々、大変なこともあるけどね(笑)。次は海外で、うちの家具を売ってみたいな」

 

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そんなことを思い描きながら、

次のことにワクワクしながら、

18歳のスタッフに

仕事を教えている南沢さんが、ここにはいた。

 

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そもそも、それが好きで、

とにかくやってきて。

はじめたきっかけは、

実のところ、よくわからない。

 

だけど、

「理由のない“理由”」という、

 

ホントの根の拠りどころが

ちゃんとある。

(それでいいんだって。それがいいんだってことを教えてもらった気がした)
 
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そんな南沢さんのもとに、

野良仕事を終えたおじいちゃんが

採れたてのレタスを持ってやってきた。

 

-INFO –

『株式会社 フォークロア工芸社』

http://www.folklore.co.jp

長野県小諸市平原1439-2

 

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posted by TAKASHI KOBAYASHI

2011年、大学3年の冬に長野市「旧シンカイ金物店」を友人と改修。生活拠点として、蚤の市やライブ、食事会などを企画。中学校教諭退職後、渡米。帰国後、アパレル販売員を経て、執筆、空間演出、広報などの経験を積む。フードケータリング「Hello,FOLKS!」主催。

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